経歴詐称の見破り方 ~採用前に経歴詐称を見抜き、労働トラブルを回避する~

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経歴詐称で入社しようとする応募者は、少なからずトラブルを起こす可能性を秘めているので、採用前にキッチリと見極める必要があります。

一度採用してしまうと、解雇するのはそう簡単なことではありません。解雇に向けて費やす労力より、面接時に労力を使ったほうがはるかに効率的です。

また世の中には下記の事例のような詐欺まがいのゴロツキが実際におり、その輩から会社を守るためにも正しい目を持つことが必要なのです。

 

解雇予告手当狙いで会社を渡り歩くならず者

面接時は感じもよく仕事に意欲的だったことから、期待を込めて採用し、入社当初は普通に働いていたのが、採用から14日がたった途端に急に態度をガラリと変え、怠慢な態度や反抗的な態度を取ったり、ありもしないパワハラやセクハラをでっち上げたりする。

思わず経営者側も「クビだ!」というと、待ってましたとばかり「それは解雇ですね。」と返す。

彼らの目的は“解雇予告手当”なのです。

たとえ試用期間を2~6ヶ月間と定めていても14日を超えて雇用している者を解雇する場合には、30日前に解雇予告を行うか、1日の平均賃金の30日分の解雇予告手当を支払わなければなりません。

そのため彼らは最初の14日だけまともに仕事をし、それ以降は解雇されるように仕向けるのです。

結果、会社側は泣く泣く解雇予告手当を払うことに。会社の汗の結晶がかすめ取られていく、これほど腹立たしいことはありません。

これらは介護業界や運送業界など慢性的に人手不足の業界がターゲットにされやすい傾向にあり、その中でも労働法に対して備えが整っている大企業ではなく、法的知識が後回しになりがちな中小・零細企業を狙ってきます。

これらのトラブルを未然に防ぐためにも、採用前に前職の確認を徹底的に行い、問題社員の入社を水際で食い止めましょう。

 

応募者には入社前に最低でも2度会社に足を運んでもらう

大企業では2回以上面接を行ってから採用となるのが通常ですが、中小企業は1回で採否を判断するということも少なくありません。

それ自体は問題ありませんが、履歴書の職歴の内容を確認するために採用前にもう一度会社に来てもらいましょう。

すでに退職中の方でしたら雇用保険被保険者証を持ってきてもらいます。被保険者証に書いてある内容から直近の職歴を確認することができます。

また、前職の源泉徴収票も有効です。源泉徴収票に記載されている退職日付で履歴書の退職時期との整合性を読み取ることができます。

もしまだ在職中だとしたら、いま勤務している会社の在職証明書の提出を求めます。提出に応じてくれない場合もありますが、だからといって即疑うというのではなく、まず理由を聞いてみましょう。

頼んだのに作成してくれていないということでしたら、こちらから前職の会社に催促する場合もあることを示唆します。

これらの資料をどうしても用意できない場合は、最終手段として生涯の年金加入実績が記録されている「年金記録照会回答票」を持ってきてもらう方法もあります。

年金加入記録では在職した企業名の入った加入期間を見ることができます。年金加入記録は年金事務所などで発行してもらえます。

経歴を詐称している応募者は、これらの書類の提出を求めた時点で、もう会社に来ることはほぼありません。

ただし、まっとうな応募書類を提出している応募者についても、これらの提出を求めると自分が疑われているのではと不快に思い、辞退されてしまう可能性もあるので、あくまで会社の方針に沿って応募者全員に行なっていることを強調してください。

入社前に「契約書を書いてもらう」という口実で呼び、手続き上、<雇用保険被保険者証などが必要だからと言えば自然でしょう。ちなみに交通費の支給は義務ではありません。

 

就業規則を整備する

万が一入社してから経歴詐称が発覚した場合でも、就業規則に懲戒解雇の規定があれば、懲戒解雇が認められる可能性も出てきます。

そのためにも就業規則に「懲戒解雇事由」を明確に定め、トラブルに備えることが必要です。