2021年5月事務所だより

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無期転換をめぐる裁判の動向と厚生労働省の動き

無期転換をめぐる裁判の動向

物流大手の日本通運で有期雇用で働いていた男性(40)が、契約期間が通算5年を過ぎ、無期契約への転換を希望できる日の直前に雇用を打ち切られたのは不当だと訴えた訴訟で、横浜地裁川崎支部が訴えを棄却する判決を言い渡しました。

男性は2012年9月から同社に派遣社員として勤務。労働契約法の改正で5年ルールが導入された後の13年7月に、1年間の契約社員として日通に直接雇われ、4回の契約更新を重ねましたが、18年6月末に契約を打ち切られました。

判決では、雇用契約書に「更新限度が18年6月30日までの5年」と明記されていると指摘。男性が「契約内容を十分認識した上で契約を締結した」と認定し、改正労契法の「5年ルール」については、「5年を超えて労働者を雇用する意図がない場合に、当初から更新上限を定めることが直ちに違法にはならない」と指摘しました。男性は控訴する方針ということです。

無期転換については、無期転換申込権が発生する5年の直前での雇止めに関するトラブルが増加。裁判も相次いでいて、2月の山口地裁判決(山口県立病院機構)、3月の福岡地裁判決(博報堂)などでは、不更新条項の効果を否定して「雇止め法理」を踏まえて雇い止めを無効とする判決が出ています。

厚労省が「取組支援ワークブック」公開

こうしたなか、厚生労働省では、「無期転換ルールに対応するための取組支援ワークブック」を作成・公開しました。

このワークブックは、「企業が無期転換ルールに対応するにあたって問題となるポイントを中心に、ワーク形式の演習を交えながら解説したもの」で、平成30年の「多様な正社員及び無期転換ルールに係るモデル就業規則と解説(全業種版)」とともに使用して、無期転換ルールに適法に対応した社内制度を整備してほしいというものです。

巻末には8ステップからなるワークシートが掲載されており、これを活用することで、無期転換ルールに対応するための手順を実践することができるとしています。

「多様化する労働契約のルールに関する検討会」始まる

また、厚労省では3月24日から、無期転換ルールの見直しを主要テーマのひとつとする検討会も始まりました。現行法下での適正な運用を心がけたいのはもちろんですが、今後の制度の見直しへの動きも気になるところです。

【厚生労働省「無期転換ルールに対応するための取組支援ワークブック」】
https://muki.mhlw.go.jp/policy/workbook_201125_01.pdf
【厚生労働省「多様化する労働契約のルールに関する検討会 第1回資料」】
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_17519.html

 

職場における新型コロナウイルス集団感染事例にみる感染予防対策

まん延防止等重点措置の適用地域が拡大

4月5日から宮城県、大阪府、兵庫県の一部地域、加えて12日からは東京都・京都府・沖縄県の一部地域にも、まん延防止等重点措置が適用されています。

特に、1月31日時点では日に5例の報告であった変異株への感染が、3月31日には23例に増える等、従来型より感染力が強いとされる変異株への感染増加が懸念されています。

職場における集団感染はどこで発生している?

厚生労働省がまとめた「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に係る職場における集団感染事例」では、次の4つの事例が紹介されています。
・事業場(執務室) ・事業場(休憩スペースや社員食堂等)
・事業場外(外勤時や移動時) ・事業場外(勤務時間外等)

執務スペース以外の感染対策

多くの労働者が同時に休憩を取ったり更衣室の消毒が不十分であったり、食堂の飛まつ対策が不十分であったりしたために集団感染が発生しています。

対策としては、休憩時間等を分散したりスペースの消毒を定期的に実施したり、入退室後の手洗い・手指消毒を徹底したりするなどがあります。また、食堂における感染防止対策としては、座席数を減らす、座る位置を制限する、会話をしない、昼休み等の休憩時間に幅を持たせる、などがあります。

外勤時や移動時の感染対策

研修など宿泊を伴う業務において、集団活動や生活する場で密集していたことが原因で集団感染が発生したり、複数の労働者が車両で移動し、同乗した複数の労働者に感染が見つかったりしています。

対策としては、3密回避やマスクの着用、手洗い・手指消毒といった基本的な対策に加えて、日常生活用品の複数人での共用は避けるなどがあります。また、車両での移動についても、人との間隔を空け、マスクを着用し、換気を行うなどがあります。

勤務時間外等の感染対策

政府は4人以上の会食を行わないよう呼びかけていますが、就業時間後の飲み会などでの集団感染が発生しています。改めて一人ひとりが感染予防の行動をとるよう全員に周知することが求められます。

 

人材確保等支援助成金の「テレワークコース」が創設されました

概 要

人材確保等助成金においては、「人事評価改善等助成コース」や「働き方改革支援コース」、「設備改善等支援コース」等複数ありますが、令和2年度で廃止されているものがいくつかあります。そんな中、4月1日に「テレワークコース」が創設されました。

このコースは、良質なテレワークを新規導入・実施することにより、労働者の人材確保や雇用管理改善等の観点から効果をあげた中小企業事業主が助成対象となります。

助成対象となる取組み

1.就業規則・労働協約・労使協定の作成・変更
2.外部専門家によるコンサルティング
3.テレワーク用通信機器の導入・運用
4.労務管理担当者に対する研修
5.労働者に対する研修

主な内容

① 機器等導入助成
・計画認定日以降、テレワーク勤務に関する制度として対象者の範囲や留意事項に関する内容、労働時間や人事評価、費用負担等の取扱いに関することを規定した労働協約または就業規則を整備すること。
・計画認定日から起算して7か月以内に、テレワークを可能とする取組みを1つ以上行うこと
・評価期間において対象者がテレワークを行い、その実績が下記のいずれかを満たす場合
○実施対象者全員が1回以上のテレワークを実施
○実施対象者のテレワーク実施回数が週間平均1回以上  等
② 目標達成助成
・機器等導入助成の支給を受けていること
・評価時離職率が30%以下であること
・評価期間(目標達成助成)において、テレワークを実施した労働者数が、評価期間(機器等導入助成)から1年を経過した日における労働者数に、計画認定時点における労働者全体に占める対象者の割合を掛け合わせた人数以上であること  等

評価期間

① 機器等導入助成
計画認定日から起算して6か月以内の連続する3か月
② 目標達成助成
評価期間(機器等導入助成)の初日から1年を経過した日から起算して3か月間

支給額

① 機器等導入助成
支給対象経費の30%
② 目標達成助成
・生産性要件を満たした場合:支給対象経費の35%
・生産性要件を満たしていない場合:支給対象経費の20%
*①②は以下のいずれか低いほうの金額が上限
・100万円または20万円×対象労働者
【厚生労働省 人材確保等支援助成金(テレワークコース)】
https://www.mhlw.go.jp/content/11600000/000764588.pdf

 

「最低賃金引上げの影響に関する調査」の集計結果(商工会議所)より

日本商工会議所ならびに東京商工会議所から「最低賃金引上げの影響に関する調査」の結果が公表されました。
この調査は、最低賃金について、2016年から2019年まで4年連続で3%台の大幅な引上げが行われてきたことを踏まえ、コロナ禍における中小企業の負担感や経営への影響等を把握し、今後の要望活動に活かしていくために実施されたものです。

具体的には、2021年2月1日~22日までに全国の中小企業6,007社を対象に調査が行われ、3,001社から回答が得られました(回答率:50.0%)。
調査結果のポイントは以下のとおりです。

○昨年の最低賃金の全国加重平均額は、コロナ禍による厳しい経済情勢が考慮され、1円の引上げにとどまったが、2016年から2019年まで4年連続で3%台(25円~27円)の大幅な引上げが行われてきた。
○こうした経緯を踏まえ、現在の最低賃金額の負担感について聞いたところ、「負担になっている」(「大いに負担になっている」、「多少負担になっている」の合計)と回答した企業の割合は過半数に達した(55.0%)。
○業種別でみると、特に、コロナ禍で大きな影響を受けている「宿泊・飲食業」では、「負担になっている」と回答した企業の割合は8割に達した(82.0%)。
○また、現在の最低賃金額の経営への影響について聞いたところ、「影響があった」(「大いに影響があった」、「多少は影響があった」の合計)と回答した企業の割合は4割に達した(43.9%)。
○最低賃金額を全国で一元化すべきとの論調に対する考えについて、「反対」(「反対である」、「どちらかと言うと反対である」の合計)と回答した企業の割合は約8割に達した(78.0%)。目安ランク別でみると、Dランク(青森、岩手、秋田、山形、福島、鳥取、島根、愛媛、高知、佐賀、長崎、熊本、大分、宮崎、鹿児島、沖縄)の企業において、「反対」と回答した企業の割合が83.9%と最も高かった。
○仮に、今年、最低賃金が30円の引上げとなった場合の経営への影響について聞いたところ、「影響がある」と回答した企業の割合は6割に達した(63.4%)。
○「影響がある」と回答した企業に対して対応策を聞いたところ、「設備投資の抑制等」(42.1%)が最も多く、次いで、「一時金を削減する」(28.4%)、「非正規社員の採用を抑制する」(24.9%)との回答が多かった。
○したがって、最低賃金の大幅な引上げは、設備投資による生産性向上の阻害要因になることに加え、賃金増に必ずしも直結しないことや採用の抑制につながることがうかがえる。

 

コロナ禍における就業者のキャリア観・仕事観

コロナ禍でキャリアを見直す人も

新型コロナの流行は雇用環境にも大きな影響を与え、それをきっかけに自身のキャリアを見直した人も少なくないようです。昨年春に株式会社ビズリーチが転職サイト「ビズリーチ」の会員を対象に実施したアンケート調査によると、新型コロナウイルス感染症の拡大を受けて、自身のキャリア観に変化があったとの回答が約6割に上っています。

また、そのうち9割以上が「企業に依存せずに、自律的にキャリア形成する必要がある」と回答しており、就業者のキャリア意識はコロナ禍において変化していることが読み取れます。

職業生活が大きく変化した人ほどキャリア観に影響が

独立行政法人労働政策研究・研修機構が2019年11月と2020年11月に実施した「就業者のライフキャリア意識調査―仕事、学習、生活に対する意識」によると、「コロナ禍での職業観・キャリア観の変化及び職業生活の変化と職業やキャリアに問題を感じる程度は密接に関連していた。

コロナ禍によって職業観・キャリア観や自らの職業生活が大きく変化したと回答した者ほど、コロナ禍前後における職業やキャリアに問題を感じる程度が大きくなった。」とされています。

コロナによって職業生活に大きな変化のあった人ほど、今後の問題を強く意識する環境にあるといえます。

企業も労働者のキャリア形成への意識が必要に

日本は企業の能力開発費(Off-JT費用)が欧米の国に比べて大分低いといわれます。働く側も自身のキャリアを意識する人がまだ少ないともいえますが、経済のグローバル化、IT化、働く人の価値観の多様化、また、今回のコロナ禍における就業環境の変化の中で、労働者の意識も変化し、個人のキャリア形成に対する取組みは今後ますます求められていくでしょう。

企業としても、従来のやり方にとらわれない形で、労働者のキャリア形成にも意識した人材育成制度の充実等が望まれるところです。

 

「アルバイトの労働条件を確かめよう!」キャンペーン実施

4~7月は「アルバイトの労働条件を確かめよう!」

厚生労働省では、全国の学生等を対象として、4月から7月までの間、自らの労働条件の確認を促すことなどを目的としたキャンペーンを実施しています。この時期、新たにアルバイトを始める学生等は多く、いわゆる「ブラックバイト」等に悩まされないよう、周知・啓蒙するものです。

具体的には、(1)都道府県による大学等での出張相談、(2)学生たちにとって必要な知識を得るためのリーフレットの配布、(3)総合労働相談コーナーへの「若者相談コーナー」の設置などが行われています。

リーフレットはクイズ形式で、「遅刻時には罰金を支払うルールがある」「タイムカードに記録されている労働時間が切り捨てられた」「研修中の時給が最低賃金を下回っている」「辞めたいが、代わりの人を用意しないと辞めさせないと言われた」「採用後、急に一方的なシフト変更があった」などの問いに、いずれも労働法違反との答えを示しています。

この機会に事業主も確認を

重点的に呼びかけられているのは、以下の事項です。
① 労働条件の明示がされているか
② 学業とアルバイトが両立できるよう、適切な勤務シフトの設定がされているか
③ 労働時間が適正に把握されているか
④ 商品の強制的な購入の抑止と、その代金の賃金からの控除の禁止が守られているか
⑤ 労働契約の不履行に対してあらかじめ罰金額を定めることや、労働基準法に違反する減給制裁の禁止が守られているか

多くの事業主にとっては、どれも基本的な事項でしょう。しかし、これらが守られず、苦しい思いをしている学生アルバイト等からの訴えがあるのも事実です。違法となる行為が見逃されていないか、この機会にいま一度、確認をしておきましょう。

【「アルバイトの労働条件を確かめよう!」キャンペーンを全国で実施(厚生労働省)】
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_17725.html

 

「令和3年度地方労働行政運営方針」にみる労務管理のポイント

気になるポイントは?

今後の労働基準監督署等による監督・指導方針の傾向がわかる「令和3年度地方労働行政運営方針」が策定されました。気になるポイントを見ていきましょう。

雇用の維持・継続に向けた支援

新型コロナへの緊急的な対応期を経て、ポストコロナへ政策の重心が移っていくようです。
産業雇用安定助成金やトライアル雇用助成金などを活用した、在籍型出向の活用や再就職支援を支援する、とあります。出向契約や出向に関する意向の確認などが重要となるでしょう。

女性活躍・男性の育児休業取得等の推進

女性活躍推進法の行動計画策定義務対象企業が、この4月より101人以上に拡大されています。また、新設が予定される、いわゆる男性版産休制度(子の出生後8週間に4週間の休みを取得可能とすること等が柱)も、制度の施行は2022年秋頃が予定されているようですが、どのような内容になるのか確認しておく必要があるでしょう。

テレワーク、労災

今や、やっている・知っていて当然となったテレワークに関しても、取組みを強化するようです。人材確保等支援助成金による支援があります。テレワークに関しては技術的な面からも、労働時間の管理、健康管理などの労務管理の面からも、これから人事労務担当者の必須の知識となるでしょう。

また、新型コロナ感染症による労災にも注意しておきましょう。医療関係の職種だけではなく、ビルメンテナンス業の清掃員や建設業の施工管理者・営業職従事者・建設作業員、港湾荷役作業員、販売店員でもコロナによる労災が認められた事例があります。

監督・指導は長時間労働の是正に関する監督指導が中心にはありますが、今年度の運営方針では、職場のハラスメントや勤務間インターバル、同一労働同一賃金などについても触れられていますので、昨今の傾向を反映した調査・指導にも注意が必要です。

 

コロナ禍での採用活動と「リモートネイティブ世代」

採用活動で求められる「オンラインの活用」

日本経済団体連合会(経団連)は、2022年度卒業・修了予定者等の就職・採用活動に関して、政府からの要請の趣旨を踏まえた採用選考活動を行うよう周知しました。

要請の内容は多岐にわたりますが、その1つとして新型コロナウイルス感染拡大の影響も踏まえて「オンラインの活用」が挙げられており、「オンラインによる企業説明会や面接・試験を実施する場合には、その旨を積極的に情報発信すること」「通信手段や使用ツールなど、どのような条件で実施するかについて事前に明示し、学生が準備する時間を確保すること」などが要請されています。また、オンライン環境にアクセスすることが困難な学生や、遠隔地の学生への配慮も求められています。

22年新卒は「真性リモートネイティブ世代」

このように今年もコロナの影響下で採用活動が進行していくことになりそうですが、22年新卒は、「真性リモートネイティブ世代」とも呼ばれます。20年新卒以降は入社後すぐにリモートワークを行わざるを得なくなりましたが、中でも22年新卒は、学校でオンライン授業とリアルでの授業、ハイブリッド型の授業パターンを経験し、リモートと対面を目的・シーンによって上手に使い分けることができるようになった世代です。仕方なくリモートとなった層とは異なり、リモートの利便性をしっかりと知り活用できる世代といえます。

「リモートネイティブ世代」の採用と労務管理

22年新卒は、リモートコミュニケーションのスキルを自然に身につけているだけでなく、「リモートファースト」な価値観を持っている、との指摘もあります。そのため、組織への所属意識が希薄で、利便なリモートワークができるかどうかが企業志向に影響を与えるともいわれています。このような特性を踏まえ、採用・労務管理を行っていくことが必要であるといえそうです。

 

不妊治療と仕事の両立のための助成金

不妊治療に取り組む従業員を支援する中小事業主を対象とした助成金(厚生労働省)をご紹介します。

両立支援等助成金(不妊治療両立支援コース)

不妊治療のために利用可能な休暇制度・両立支援制度(①不妊治療のための休暇制度(特定目的・多目的とも可))、②所定外労働制限制度、③時差出勤制度、④短時間勤務制度、⑤フレックスタイム制、⑥テレワーク、のいずれかまたは複数)について、利用しやすい環境整備に取り組み、不妊治療を行う従業員に休暇制度・両立支援制度を利用させた中小企業事業主は、本助成を受けることができます。

【支給額は?】※要件を満たした場合、A、Bそれぞれが支給されます。
A:環境整備、休暇の取得等
支給要件のすべてを満たし、最初の従業員が、不妊治療のための休暇制度・両立支援制度を合計5日(回)利用した場合
…1中小企業事業主 28.5万円<生産性要件を満たした場合36万円>
B:長期休暇の加算
Aを受給した事業主であって、従業員に不妊治療休暇制度を20日以上連続して取得させ、原職等に復帰させ3カ月以上継続勤務させた場合
…1中小企業事業主 28.5万円<生産性要件を満たした場合36万円>
※1事業主当たり1年度に5人まで

【支給要件は?】※次のすべての条件を満たすことが求められます。
(1) 不妊治療と仕事の両立のための社内ニーズ調査の実施
(2) 整備した上記①~⑥の制度について、労働協約または就業規則への規定および周知
(3) 不妊治療を行う従業員の相談に対応し、支援する「両立支援担当者」の選任
(4) 「両立支援担当者」が不妊治療を行う従業員のために「不妊治療両立支援プラン」を策定

◆働き方改革推進支援助成金(労働時間短縮・年休促進支援コース)

不妊治療のための休暇を新たに導入したい場合に活用できる助成金で、不妊治療等のために利用できる特別休暇制度(多目的・特定目的とも可)を導入した中小企業事業主が受給できます。
【支給額は?】
外部専門家によるコンサルティングや就業規則等の作成・変更などの休暇制度の導入に関する経費の3/4(一定の要件を満たした場合4/5。上限50万円)。

参考:行動計画策定指針が改正されました

次世代育成支援対策推進法の指針が改正され、この4月より、事業主が一般事業主行動計画(※)に盛り込むことが望ましい事項として、「不妊治療を受ける労働者に配慮した措置の実施」が追加されました。

※次世代育成支援対策推進法に基づき、企業は、従業員の仕事と子育てに関する「一般事業主行動計画」を策定することとなっており、常時雇用する従業員が101人以上の企業は、この行動計画を策定し、その旨を都道府県労働局に届け出ることが義務とされています。(100人以下の企業は努力義務)

 

大学生の就職内定率が10年ぶりに悪化

◆2月時点の就職内定率は?

厚生労働省と文部科学省は、2月1日現在の「令和2年度大学等卒業予定者の就職内定状況」を公表し、大学生の就職内定率は89.5%(前年同期比2.8ポイント減)でした。昨年の同時期の就職内定率は過去最高の92.3%でしたが、新型コロナウイルスの感染拡大影響で5年ぶりに9割を切りました。また、2011年以来10年ぶりに前年同期比を下回りました。

なお、同調査の昨年10月1日時点の就職内定率は69.8%(同7.0ポイント減)、昨年12月1日時点では82.2%(同4.9ポイント減)でしたので、減少幅は縮まったことになります。

◆学部別、地域別では?

大学生の就職内定率は、学部別では、文系が88.9%(同3.3ポイント減)、理系が92.1%(同0.9ポイント減)でした。
地域別では、9割を超えたのは北海道・東北地区の90.9%(同1.7ポイント減)と、関東地区の90.8%(同3.2ポイント減)でした。また、前年同期比より増加したのは、中国・四国地区で87.7%(同0.6ポイント増)でした。

高校生の内定率は?

なお、文部科学省の調査結果によると、1月末時点の令和2年度高校卒業予定者の就職内定率は過去最高の93.4%(前年同比1.4ポイント増)でした。しかし、就職希望者数が前年よりも11.3%減少していることから、現在の経済状況を鑑みて進学に切り替えた生徒が増えたことが考えられます。そのため、同省は「決して就職状況がよくなっているわけではない」と分析しています。

今後もコロナの影響を懸念

昨年度は新型コロナウイルスの感染拡大の影響により、企業説明会の中止やオンライン面接への移行等で採用活動に混乱が生じました。また、業種によっては採用の抑制や中止をする企業が相次ぎました。
すでに来春卒業予定の新卒就職活動は始まっていますが、コロナ禍での変化に対応した採用活動を行うことがより良い人材の獲得につながると考えられます。

【厚生労働省「令和2年度大学等卒業予定者の就職内定状況(2月1日現在)」】
https://www.mhlw.go.jp/content/11804000/000752873.pdf
【文部科学省「令和3年3月新規高等学校卒業予定者の就職内定状況 (令和3年1月末現在)に関する調査」について】
https://www.mext.go.jp/content/20210319-mext_jidou01-000013365_2.pdf

 

5月の税務と労務の手続[提出先・納付先]

10日
○ 源泉徴収税額・住民税特別徴収税額の納付[郵便局または銀行]
○ 雇用保険被保険者資格取得届の提出<前月以降に採用した労働者がいる場合>
[公共職業安定所]

17日
○ 特別農業所得者の承認申請[税務署]

31日
○ 軽自動車税(種別割)納付[市区町村]
○ 自動車税(種別割)の納付[都道府県]
○ 健保・厚年保険料の納付[郵便局または銀行]
○ 健康保険印紙受払等報告書の提出[年金事務所]
○ 労働保険印紙保険料納付・納付計器使用状況報告書の提出[公共職業安定所]
○ 外国人雇用状況の届出(雇用保険の被保険者でない場合)<雇入れ・離職の翌月末日>
[公共職業安定所]
○ 確定申告税額の延納届出額の納付[税務署]